column コラム

東大EMP講義開始

昨日社会人向けの「東京大学エグゼクティブ・マネジメント・プログラム」の講義が開始されました。 私は口開けの講義で、コミュニケーションの一形態であるVisual Thinking & Communication に関して、「図を見て・考え・伝える力を磨く」という講座で4時間を担当しました。Visual Thinkingというコンセプトは日本ではまだ広く知られていません。  「このプログラムでは、東京大学がこれまで培ってきた高度で多様な知的資産を最大限に活用しながら、教授陣と経営コンサルタントなどのプロフェッショナルとの協働により、組織のリーダーに最も必要な「課題設定能力」を醸成することを目指しています。」  東大HPより 講義は、上記の目的に沿って「課題設定能力」の醸成に必要なスキルを習得してもらうためのものです。課題設定能力には現状を分析、把握し、課題の根を特定、そして着手すべき課題の優先順位付けが必要です。その後は解決策への仮説設定と検証、最終的には対策の合意形成、周知、実行とプロセスが続きます。それぞれのフェーズで「思想を視覚的に表現し、分析の抜け漏れを無くし、思想を構造化、単純化し、最後に分かりやすく思いを伝える作図能力」が必要になるのです。 講義内容は、
  • ビジネス誌や学術論文でよく見かける図表が、いかに論理やDiscipline(規律、訓練)がなく描かれていたり、時には意図的に誤解を生むように描かれているかを10を超える例示を交えて討議しました。
  • 続いて2次元で表現する際のVisualizationの目的や、プレゼンテーション資料の制作ステップと注意点を解説。また基本論理として、縦軸、横軸、座標、回転・循環、関連・構造という考え方を解説しました。
  • また、テキストチャート、定量チャート、定性チャートという3タイプのチャートの使い方と、定量チャート6つの基本(パイ、バー、コラム、ライン、ドット、マトリクス)と定性チャート(ステップ、関連など)の使用法の解説。またパワーポイント2007の高度な使用法の解説も加えました。
  • 最後に上記原理原則の講義のあとに演習問題エクセルとパワーポイントを使って作図を実践していただきました。
コース受講者は企業派遣の方や、官庁からの方が中心でしたが、中には個人で600万円というフィーを自費で賄い参加されている方もいらっしゃって、学習意欲の高さを感じました。中にはパワーポイントをほとんど使えない参加者もいらっしゃって戸惑いも見えましたが、大半は講義を興味深く楽しんでいただいたようでした。 次回は2月に卒業プレゼンテーションのブラッシュアップのための講座を担当しています。次回お会いする時までに、参加者の皆さんがどう進化するのか楽しみです このようなプレゼンテーションや作図のDisciplineを真剣に学習する場は少ないでしょう。私は15年ほど前にマッキンゼー社に入社してコンサルタントになって以来スキルを磨いてきました。その意味でマッキンゼー社は先見性があることを実感しています。このスキルを磨く講座は私の今後のテーマになりそうです