明けましておめでとうございます。
今年は「ブログの更新頻度向上」を目指します。昨年は達成できませんでしたけれど・・・

さて、年初からクライアントのメーカー2社のアクションラーニングが続けざまにありました。両社に共通のキーワードは「小売り店のPB(自主企画ブランド)の脅威」でした。この脅威に対抗するか、または小売りの要請に従って自らPBを作る側に回るか。つまり

*NB品(メーカーのブランド商品)として如何にブランド価値、顧客価値を上げて対抗すべきか?
*小売りとの良好な関係を保ちつつ製造量を上げるためPBのOEM生産を受けるか?

という対極の対応と、

*NBは保つが、特定小売りチェーン向けの専用販売製品を作るか?
*ダブルチョッパー(ストアブランドと、メーカーブランドを併記する、いわゆるダブルブランド)生産を引き受けるか?

などの中間的な対応策が考えられます。

昨年はイオングループや7&I ホールディングスなどの小売りグループや、マツモトキヨシなどのドラッグストアもPBの拡大が急ピッチで進行しました。そして出遅れの感があった7&I は2010年2月期に、600品目程度であったPBを1300品目程度まで増やし、売上高も3200億円と、前期から六割増やす方針を発表しています。 日経の記事によれば「PB市場は二年内に少なくとも年二兆円と、食品・日用品全体の五%以上に達する見通し」も出ています。しかしこの5%は欧米と比較するとまだまだ低く、伸びしろは大きいと考えられます。

これまでPBは一時ブームになったこともありましたが、結局NBの商品開発力に押されて一定以上の売上を確保できていませんでした。ところが、この不況とデフレ経済のなか、低価格志向が強まった消費者のPBに対する意識がはっきりと変容したようです。つまり、「試してみたら、PBとNBの品質格差がかなり小さくなった」という認識ができたようです。

現実に昨年、サントリーがダブルチョッパーを受けて、イオンが「トップバリュ 麦の薫り」、セブン&アイが「セブンプレミアム THE BREW」という第3のビールを、いずれも350ミリリットル缶を100円で売り出し、大きな話題となりました。 アルコール飲料が水より安いのです。物流費や製造費の削減、そしておそらく直接取引による流通手数料などのコストセーブにより、品質を落とすことなく(? 試していないので不明)この価格を実現したようです。 この例以外でも、NBを出している一流メーカーが小売りPBのOEM商品をひっそりと受託生産しています。こうなれば商品の格差は極小化する。PBの脅威は、もはや一過性ではないと思います。

欧米、特にスイスやドイツなどでは小売りの寡占化が進行し、店舗の棚の半分以上はストアのPBで占められ、そこに限られた有力メーカーのNB商品を加えて棚割りができています。

元来日本人はブランド好きで、異様なほど細かい商品スペックにこだわりを持ってきました。それが故にNBが付加価値を享受できたのです。この構造はこれから大きく変容するでしょう。

サントリーのようにNBメーカーであっても一定の製造量を確保するために敢えて火中の栗を拾うか?それともビールメーカー他社のようにPBの打診をされても拒絶し続けるか? サントリーはキリンとの統合を控えて、やっとシェアNo3になった地位を死守しようとする強い動機づけがあったのでしょう。

この問題は「NBメーカーは小売りに屈するべきでなく、そうするとNBメーカーとしての自立性を失うので拒否すべし」という感情論では最早片づけられない。自社ブランドごとの市場の伸びやポジション、コスト優位性、製造技術の模倣困難性、加えて小売りとの力関係など、いくつかの変数からNBメーカーはポリシーを決定しなければなりません。

勿論NBメーカー最大の対抗策は「魅力あるNBの新製品を作ること」。 でもこれは言うは易く、行うに難い。

これまでPBをやらなかったはずの競合が動き出しています。決断を迫られる時期は近いと思います。