column コラム

2011年を振り返って

2011年を振り返ると、「震災・原発事故」「日本企業の6重苦・経済の落ち込み」「政治の不在・混乱」と陰鬱な単語が並ぶ。そしてこれらは2011年にちゃんとけりがつく問題ではなく、2012年以降にもずっと持ち越される。様々な識者や著名経営者の2012年への展望を読んでも楽天的な観測を持つ方は少ない。

しかしどのような悪条件下でも危機を文字通り機会に変えていく経営も存在する。

「絆」が今年の言葉となったように、家族や縁者、社会とのつながりの重要性を再認識した年でもあった。この言葉もしばらくマーケティング上大きな意味を持ち続けるだろう。今年縁があってコンサルティングやアクションラーニングでご一緒させていただいた企業の中でも、たくましく事業機会を窺っている動きを感じた。

具体的には、あるクライアントはMポーターが提唱する、CSV(Creating Shared Value:共通価値の創出)という「企業が事業を営む地域社会の経済条件や社会状況を改善しながら、みずからの競争力を高める方針とその実行すること。社会の発展と経済の発展の関係性を明らかにし、双方の価値を拡大すること」という新しい戦略に対して、実行に移せないか具体的に模索をしている。

また、顧客中心に商品価値をデザインする動きも顕著になった来た。数社のプロジェクトではペルソナ・マーケティングの実践を如何に定着させることが出来るかということが主眼になった。我が社は顧客重視であると「言うこと」とその為にマーケティングプロセスを「変えること」は天と地ほどの差がある。調査やプロジェクト運営のノウハウの問題だけでなく、顧客に向き合う度合いの強弱が大きな差を生む。

極めて希ではあるが、ニューロ・マーケティングに目を向け、脳科学的アプローチから顧客の購買行動を解明しようとする企業も出てきている。

私は、来年も新しい戦略思想やツールに対して果敢に体感、実践して、これらの挑戦するクライアントの役に立ち続けたい。