column コラム

ニューロマーケティング

2005年にハーバードビジネススクールのジェラルド・ザルトマン教授によって書かれた「心脳マーケティング 顧客の無意識を解き明かす」は、これまでのマーケティングの概念や、特に既存調査の有効性を覆す斬新な切り口で一部マーケターの話題になりました。

「人の思考や感情の95%は無意識によるものであり、従来のマーケティングは、人が言葉で表現できる5%をとらえ対応する活動であった」

「消費者が自分たちの世界について体験し考えていることと、その情報を集めるためにマーケティング担当者が使う手法とのあいだに大きなずれが存在している」 との主張。

脳科学や行動心理学などの先端学問を駆使しての新しい消費者アプローチでしたが、「学問的」な印象を持っていました。この本も概略を読み込んだだけで、実践に活かすことは無かった。

その後もハーバードビジネスレビューの記事などからfMRIやトポロジーといった機器や技術で脳の血流量、酸素濃度などの変化から、無意識の反応の意味を判断する試みがあることや、それをP&Gが実験していることなどは知っていましたが、コストが高く極めて特殊な企業向けという認識でした。

ところが、最近クライアント先のマーケティング担当者や調査関係者から、そろそろ真剣に導入を検討し始めているという声がいくつかあがってきています。

また、クライアントのマーケターの方から、マーケターの知らない「95%」  消費者の「買いたい!」を作り出す実践脳科学」 A・K・プラディープ  という本を紹介されました。

10万年前からの人類の脳の発達の歴史や、その課程により男性脳と女性脳が全く異なる進化を遂げ、同じ刺激に対して異なる反応をすること。女性脳は妊娠と出産を経て大きく変化し、反応が変化すること。年齢を重ねた脳は、また反応が大きく変化することなど、これらはある程度マーケティングの実務上何となく感じていたことを学問的に解説してくれています。本としては表現の繰り返しが多々あり読みにくいのですが、面白い。

極めて興味深い内容ではあるものの、実務にどれほど応用が効き、かつコストが効果に見合うものなのか?という疑問を持っていたところプラディーブ氏が率い、心脳マーケティングを実践している調査会社をご紹介いただきました。12月にその会社でEEG(脳波計)とアイトラッキング装置を使った実験結果を体験し、実例と料金テーブルを確認してこようと思っています。

納得感があれば体験後また詳細を書きます。