column コラム

日本の宇宙産業

先日JAXAの新事業創造ワークショップをやった。JAXAは私のクライアントの中でも彼らの仕事をしていることを公言して問題がない数少ない企業の1つである。 ワークショップでは、まずある企業のマクロ環境分析とその顧客のニーズ分析をする。このワークショップは今年で3年目だが、今年は対象産業を変更して鉄道事業を取り上げた。その上でJAXAの強み弱み分析を掛け合わせ、その企業に対する事業提案のたたき台をチーム対抗で創出するものである。内容はここで詳らかにすることは出来ないが、JAXAという企業の技術力や複雑なシステム構築能力が窺い知れるワークショップだった。 彼らと討議していると様々な課題意識を耳にした。文科省からの予算獲得はこのご時世がら簡単では無い。「はやぶさ」の成功が無かったらごっそり予算は削られていたかも知れない。宇宙開発に対する国の期待に応えるミッションを背負いつつ、今後は自ら事業創造を行わなければならないということだ。国民は「はやぶさ」の成功に拍手を送るものの、宇宙開発に明確な要望があるわけではない。従って国と国民のどのような期待に応えるべきかは、常に悩ましい。存在価値が問われ続ける危機感と研究者集団としての楽観が綯い交ぜになっていて、悩みながらこれまでにないチャレンジをしようとしているのだ。 意欲のある若手の研究者から、もっと民間企業の研究手法やマーケティング、事業創造方法を学びたいという申し出を受けた。私の出来ることをいくつか提案し、研究者の異業種交流会をアレンジすることにした。 後日参加者の方から送られて来た書籍に目を通してみた。これも国民への宇宙事業啓蒙活動の一環として彼らが期待を掛けているチャレンジの1つである。 宇宙ということばは、私のような文系中年男性にも夢を感じさせてくれるマジックがあった。 また航空宇宙分野は産業として未来が大きく広がっている事がよく分かる。 「宇宙を開く 産業を拓く 日本の宇宙産業 Vol.1 (日本の宇宙産業 vol. 1)」 「技術を育む 人を育てる (日本の宇宙産業) 」 お奨めである。