column コラム

グローバル人材育成プログラム

先ほど2日間のアクションラーニング・ワークショップを終了しました。この企業は近年製品の海外生産、海外企業のM&Aを通じて売上を拡大し、事業のグローバル展開が著しいため必然的に人材のグローバル化が急務となっています。

こういった事例は多くの日本企業にあてはまることで、円高、デフレ、国内事業の低成長、政府の不作為、法人税の高止まり・・・とあって、海外事業の拡大は避けられない。そのために「グローバル人材育成プログラム」への関心が高まっているのです。

まず日本人30名弱、海外からの参加者12名に対して、課題解決手法やマーケティングの講義を英語で行いました。 数時間英語で講義するのは久しぶりのことなので、言葉探しをせずに英語が出てくるまで少々時間がかかりました。何度か受講者と質疑を繰り返して感覚を取り戻してからは、楽しみながら講義することが出来ました。

その後は6つのチームに与えられた事業領域に対するSWOT分析の議論をそれぞれファシリテートし、最後に事業の課題の抽出と優先順位付けを議論しました。2人のサブ・コーチと一緒に手分けして巡回しながらコーチングを行いました。3人の視点が少しずつ異なるので、何度もチームの状況を確認しあっていくと新たな発見が出てきて指導も有効なものになっていきました。各チームはここから3ヶ月間チーム毎にフィールドワーク、調査分析とテレビ会議やミーティングを行い、来年1月には経営層に対してチーム毎に提言を行うプレゼンテーションの機会が待っています。

ブラジルやメキシコから来た参加者はその気質からか、陽気で身振りを加えながら強く自己主張し、場を支配しようとします。アメリカ人、フランス人、イギリス人、シンガポール人はさすがにチーム討議は手慣れたもので周囲の参加を促しながら積極的に議論を引っ張ります。台湾人参加者は気質がある程度日本人と似通っているのか、英語への苦手意識も手伝ってか、和やかにゆっくり意思疎通します。

一方、多くの日本人参加者は押し並べて黙々と作業をしているという印象。 これはこの手の選抜メンバーとしてはビジネス英語のスキルレベルの影響がありました。しかし何よりも大きな問題は参加者が「討議で黙っているのは存在しないと同義」という認識を欠いていたことです。流ちょうな英語でしっかりと議論が出来ていた日本人参加者は数名でした。ただし悪い話ばかりではなく、ある日本人参加者は、英語はお世辞にも上手と言えないレベルですが積極的に自説を述べ、とても楽しそうに議論を挑みチームに貢献していました。「折角与えられた機会なのだから、やらないと損」と言っていたそうです。彼のような人材の育成が必要なのです。


終了後人事担当者との所感の交換時にお伝えしましたが、英語やマーケティング、経営戦略、課題解決に対するノウハウ・スキルアップに加え、更に鍛錬すべきは人間力そのものという気がします。それはこのような体験を通じて自己の至らなさを実感し、すべきことに「気づく」ことで身について行くものでしょう。

「自分のレベルに問題があることを思い知らされた」というある参加者のことばが印象的でした。